実践から化学を学ぶことを通して“自ら考え、自ら実践できる人材”を育成します

卒業研究体験実験(1)

こんにちは高村です。

皆さん納豆好きですか? 昔、納豆がダイエットに効く!とテレビ番組で紹介されて、毎日食べてました。結果、太りました。テレビ番組の納豆記事は実は捏造!ってことが、あとから判明して、番組が打ち切られてました。というアホな経験をしています。どうです?すごいでしょ(笑)。今回は納豆から始めます。納豆には、というか正確には納豆菌はナットウキナーゼというタンパク質を分泌します。「ナットウキナーゼ」聞いたことありますか?

実は、半年ほど前からずーっと気になっていることがあります。とあるWEB記事を読んでいたのですが、「ナットウキナーゼが身体にいい!」というお話。「発酵食品は身体にいい」とか「納豆は身体にいい」とか、なんの宣伝なのかそういう記事結構多いです。確か、読んだ記事的には「ナットウキナーゼは血栓を溶解させる働きがある」から納豆を食べよう~みたいな内容だったと思います。そこから気になっているのは、「キナーゼ」という単語と「ナットウキナーゼはタンパク質なのに経口投与したら胃や腸内で消化されて、そのままの状態で身体に取り込まれないよね?、なんで身体にいいの?」ということです。

ナットウキナーゼ自身は消化酵素(セリンプロテアーゼ)でタンパク質を分解します。なので血管に張り付いた血栓成分(フィブリン)なども溶解してくれるのだと思いますが、「キナーゼ」じゃないの??「キナーゼ」って一般には「リン酸化酵素」で、消化酵素ではありません。なんでキナーゼって名前ついてる?・・わからんと思っていたら、「nattokin + ase 」ということで「納豆菌の酵素」みたいな呼び方なんですね。紛らわしいので今度から「ナットウキンアーゼ」って呼ぶことにします(個人的に)、一つ解決。

で、本当にナットウキンアーゼはそのままの状態で身体に取り込まれるの?が気になります。「ナットウキナーゼ協会」というのがあって、そこのサイトでは、「取り込まれるんだ!」と言いたいような文章が掲載されています(読んでも中身がよくわからない・・ように記載されている、多分)。少しWEBで検索していると「岡山大学大学院医歯薬学総合研究科(薬学系)生体制御科学専攻 疾患薬理制御科学分野」(長い・・)のブログで紹介記事がありました。題して「納豆の健康効果について」5回シリーズです。

2018年に執筆されたブログで、「ナットウキナーゼは、蛋白質なので消化管で消化され体内(血液中)に吸収されないはずなのになぜ?というメカニズムの話は一先ず横に置いておくとして、ナットウキナーゼを口から(経口)摂取しても、どうやら抗血栓効果がありそうなことが臨床研究で明らかになっている(原文ママ)」と記載されています・・。なるほど、そうすると、口から飲んでも消化されずに吸収される分がある・・・か、消化されて吸収されたものでも抗血栓効果を有している・・か、体内での同様の機能を有しているタンパク質ウロキナーゼ(・・あ、またキナーゼ!)(の活性)を上昇させている・・とか。いろいろ考えられます。

ものすごくまとめると、「酵素(タンパク質)」でも案外、薬(経口薬)としていけるんじゃ?ということです。

酵素(タンパク質)には、がん細胞株を死滅させる効果があるものがあります。まあ色々ありそうですが、国立がんセンター名誉総長の杉村隆博士の研究では、モンシロチョウ由来のタンパク質が胃癌細胞を死滅させる効果があることを報告しています。そのタンパク質はピエリシンと名付けられています。モンシロチョウのPieris rapae の学名から命名されています。詳細はJT生命誌研究館の「最近の研究」でも紹介されています。「タンパク質だと経口じゃ難しいよね」と、この場合もなんとなく想像していたのですが、ナットウキナーゼの記事を読んで案外行けるかも・・?と思ったりしています。ピエリシンの標的はタンパク質ではなくDNAなので、あれれ、細胞核内にも入ることができる。ましてや核を有さないウィルスのRNAやDNAなんかも攻撃しちゃう?と、これって使える? モンシロチョウの蛹を食べると体にいい(蛹にピエリシンが大量発現します)? エキスを口腔上皮に塗るとウィルスが死滅する?(良い子は真似しないで下さい)と、想像がたくましくなる一方です。

はい、長くなりすぎたので次回へ続きます・・いつになったら表題の内容にたどり着くのやら。