基礎となる化学を学び、幅広い分野で活躍できる科学技術者を養成する

研究室紹介

研究室と研究の一例を紹介します

応用化学科では、社会で必要とされている専門分野に対応した3つのデザインを設定しており、3年次から将来の希望進路に応じて選択できます。

環境-バイオデザイン

地球規模で広がりつつある環境汚染の現状を把握し、化学物質による汚染の実態、 メカニズムの解明や浄化に関する研究と教育を行います。

 

環境化学・環境生物研究室(齋藤研究室)

 

 

環境と生態影響研究室(高村研究室)

【神奈川県下の河川水の遺伝毒性評価】
環境中には様々な化合物が存在しています。その中には生物のDNAに傷をつけるような化合物も存在します。DNAに傷をつけるような化合物を「遺伝毒性物質」と呼んでいます。遺伝毒性物質は多種多様に存在していますので、河川水中の特定の化合物の存在量を測定するのは困難が伴うことが多く、また高価な機器を利用することで達成できることが多いです。そのため、分析が困難な化合物の量を測定するのではなく、「河川水中の遺伝毒性物質の活性(遺伝毒性活性:DNAにどの程度傷をつけるのか)」を微生物を用いて測定を行うことで、比較的安価で、大量のサンプルを処理することが可能となります。微生物などの生物を用いて活性を測定することをバイオアッセイと呼んでいます。
今回、遺伝毒性活性を測定するためにUMUテストを利用しました。UMUテストではサルモネラ菌TA1535株にpSK1002というプラスミドを導入した菌株 (TA1535/pSK1002) を利用し、DNAに傷がつくと細胞内の(生物的な)反応により、LacZというガラクトースー基質結合部位を加水分解する酵素(β-ガラクトシダーゼ)が発現する性質を利用します。その発現量は毒性活性に総じて比例するので、この β-ガラクトシダーゼの基質加水分解量を測定することで、遺伝毒性活性を評価することができます。河川水の遺伝毒性活性を測定するためにTA1535/pSK1002株をさらに改良したNM8001を利用しました。NM8001ではさらに酸化的なDNA損傷を感度良く検出できます。また、当研究室ではガラクトシダーゼ活性の測定にBugBusterという温和なLacZ抽出試薬、TokyoGreen-ßGalという蛍光基質を利用することで、従来の約2倍の感度で測定する新しい系を構築しました。神奈川県下の河川水23箇所の河川水を採取し、その2Lから有機成分を抽出しUMUテストで調査したところ、いくつかの河川水で遺伝毒性活性を示すことが明らかとなりました。この活性は、採水日を変えて測定しても継続して活性を示すことから、継続的な汚染があることが推定されました。
(本研究内容はH29年度卒業研究、本研究内容は日本化学会第 99 春季年会、アジア環境変異原学会(ACEM)第6回大会及び日本環境変異原学会(JEMS)第48回大会合同大会で発表されました)

           

1)神奈川県の測定地点         2)UMUテストの活性評価       3)UMUテストを行う坂本くん

マテリアルデザイン

新しい化学物質(マテリアル)の合成や分子設計及び材料評価に関する研究と教育を行います。

高分子デザイン研究室(三枝研究室)

三枝研究室では、次の4つのテーマを中心に進めています。
1) 非石油系イソソルビドポリマーの開発
2) 使用済み PET 樹脂を原料に用いたレジスト用樹脂の開発
3) 新しい有機-無機複合材料の開発:ポリイミドフィルム及び微粒子上へのヒドロキシアパタイ
トの積層
4) 多機能性トリアリールアミンポリマーの開発
一例を挙げて、少し詳しく説明します。化石燃料の大量消費に伴う環境破壊やその将来的な枯
渇等を見据えて、脱石油依存を目指したバイオマスの利用が急速に進められています。高分子化
学の分野でも、例えば、デンプンを酵素分解し、乳酸発酵して得られる乳酸からポリ乳酸が、グ
ルコースやショ糖を酵母発酵して得られるバイオエタノールからはバイオポリエチレンが製造さ
れており、このようにバイオマスより誘導される物質を原料として多くのバイオベースポリマー
が合成されています。しかし、そのほとんどは耐熱性が低く、用途は汎用用途に限定されます。
我々は、安価なグルコースより容易に誘導される“イソソルビド”に着目し、これを原料にして
広い用途を持った高性能ポリマーの合成へと展開を図っています。例えば、イソソルビド(I)から
3 工程を経て誘導した酸二無水物(IV)から得られるイミドポリマー(VII)は、高いガラス転移温度
と熱分解温度を有する一方で、多くの有機溶媒によく溶け、これより作製されたフィルムは優れ
た紫外-可視光透過性とエンジニアリングプラスチックに相当する高い強度を有しています。

 

有機合成化学研究室(山口研究室)

 

 

機能性有機材料研究室(森川研究室)

森川研では、「天然成分を化学原料としたポリマー合成」と「抗酸化物の化学修飾とポリマー化」をメインテーマとして研究を行っています。
例えば、天然成分を原料としたテーマでは、廃棄する果物やかんきつ皮からとれるテルペン誘導体を、化学反応によってプラスチックに変換する試みを行っています。反応条件や様々な触媒を検討して、最適な合成条件を探しています。また、合成できたポリマーの解析を行い、化学的性質を明らかにしています。
これらを通じて、自然に優しい・自然環境に戻りやすい材料を作り出すことにチャレンジしています。 

エネルギーデザイン

限りある資源やエネルギーの有効利用、省エネルギーで効率よく物質を変換・生産するシステムに関する研究と教育を行います。

 

資源・エネルギーシステム研究室(大庭研究室)

化学を工業的に活用する方法について研究しています。その中でも環境問題の解決の助けとなるようなシステムを構築し、実験を重ねて実現させていきます。これまでに「重金属に汚染された土壌のオンサイト浄化システム」「超臨界二酸化炭素を利用した汚染水の処理」「二酸化炭素を分離できる燃焼方法」等について取り組んでいます。今後はマイクロプラスチックスなど、新しい環境問題にも積極的に取り組むことで社会に貢献できる人材の育成と技術開発を進めてまいります。就職先としては主に化学工業(化学プラントや空調機器、水処理装置の設計、開発、施工管理)で、卒業研究で学んだ事柄が生かせます。

 

ファインセラミックス研究室(竹本研究室)

エネルギー産生に関わる材料や光機能をもつ材料を創製するとともに、その応用に関する研究を行っています。ここでは「色素増感太陽電池」(右図)の研究について簡単に紹介します。光が入射すると内部で化学反応が起こる、ちょっと変わった太陽電池です。製造コストが低いわりに高効率であるため注目を集めています。さらに効率を上げたい、と世界中の研究者がアイディアを競い合っています。当研究室では太陽電池を構成する部材のうち、図の左側の半導体膜に使われる新しい材料を創製しています。それを応用した色素増感太陽電池が実際に発電することを確認しました。研究成果の具体的な内容については下記のリンクをご覧ください。

S. Hisatome and M. Takemoto, Electrochemistry 84(3), 130-132 (2016).

T. Hirano and M. Takemoto, Trans. Mater. Res. Soc. Jpn 41(1), pp. 93-96 (2016).