実践から化学を学ぶことを通して“自ら考え、自ら実践できる人材”を育成します

沖縄熱帯植物

こんにちは、高村です。朝からリンリンって電話がなって、いつもの押し売りかと身構えますが、今回は「宅配便でーす」です。「沖縄から植物届いているんですけど」って、そんなこと電話口で言えるほど、宅配便の中身がわかるの?というか「電話口で教えてくれんでもええわ」ってなってます。

で、届きました。

 

「沖縄熱帯植物」って書いてあります。はい、宅急便やさん、正解。ですが書いてあるのと中身が一緒とは限りませんが、そんな面倒くさいことはだれも考えないですね。実は一ヶ月ほど前に注文したんでした(すっかり忘れていました)。それにしても巨大な箱です。150 cmはあるかな、早速に御開帳。

はい、中身は小さい苗木です。50 cmないくらい。さてこれはなんの苗木か分かりますでしょうか?

私も初めて見る植物です。  ゲットウっていう植物です。なぜ、注文したかというと・・・話は半年ほど前に戻ります・・・。

応用化学科には医生命特別専攻コースがあって、応用バイオ科学科と共通で運営しているコースになります。ゼミは応用化学科とバイオ科学科で共通に開講しています。2年生になると、サイエンス・インカレという学生の自主実験の発表会へ向けた実験を行います。1年生の後期にはどういった実験をするかある程度方針を立てます。

その中で、「葉っぱで食べ物を包むのはどのような意味があるのか」という話題になりました。

葉っぱで包む食べ物・・みなさん何が思いつきますか?「柿の葉寿司(多分柿の葉っぱ)」「笹ずし(ささかな?)」「柏餅(かしわ・・ですかね?)」「道明寺(桜の葉!)」色々あります。もちろん食文化的な側面があるかと思いますが、むかしから「地域でよく採取される葉っぱを利用している」、そして、「包むからには抗菌などの生理活性作用があるのでは?」という推測(ただの思いつき)になりました。葉っぱの利用に関しては実際に研究している人がいます(なんにでも研究している人がいます)。

服部保ら著の「かしわもちとちまきを包む植物に関する植生学的研究」(人と自然 2007年 No.17, 1-11)の論文では「かしわ餅」は東日本では柏の葉、西日本ではサルトリイバラの葉を利用していて、「ちまき」はというと、日本海側は笹(笹団子ってあるな)、九州あたりから竹の皮、そして沖縄ではゲットウの葉で包むとのこと。地域によって使われる葉っぱは違うんですね。当然、植生に大きく影響されますが、場所場所で「とくに抗菌性のある葉っぱを選択して利用している」という仮説が成り立たないでもありません。何でもゲットウは抗菌活性が強いとか・・

そんなわけで、2年生になった特別専攻コースの学生が調べてくれました。抗菌活性成分の同定に「タイリンゲットウの葉100 kgを水蒸気蒸留し、得られた精油48gを利用して・・・」(沖縄工業試験所研究報告20 1992年)。100 kgも蒸留できません!調べてくれた学生も「Amazonに苗木が売っていた。ただ、今から育てている時間が無いと思う。だけど沖縄に住んでいる知人はいないので、現状買うしかない」とのこと。では買いましょう、アマゾン、ポチっ。で、苗木到着。でも苗木から100 kgも葉っぱを集められないので、一緒に葉っぱを買いました、20枚ほど(笑)。アマゾンなんでも売ってます。到着した葉っぱは大きいです。100 cmはあるでしょうか。この苗木からは想像もつかないくらい大きくなるんですね。大きな箱の正体は葉っぱのせいでした。葉っぱはすぐに−80 ℃保管となりました。とりあえず、なにかしらの実験ができそうな所までたどり着きました。

その後、ゼミでは

学生「しだれ桜の葉も抗菌活性があるような論文を見つけました。近くで葉っぱを集められるので、桜とか柿の葉がいいですね!」

私「・・・・・」